今から20年前の1月26日、JR山手線の新大久保駅で、韓国人の留学生、イ・スヒョンさん(当時26)と、カメラマンの関根史郎さん(当時47)が、ホームから転落した男性を助けようと線路に降り、入ってきた電車にはねられ、3人とも亡くなりました。このニュースは日本国内でも大きく取り上げられ、私も新聞で読みました。当時教えていた子どもたちと、同じような状況になった時に「あなたならどうする?」と話し合ったことを思い出します。あれから20年が経ち、釜山で暮らすようになって初めて、イスヒョンさんが釜山出身であることを知りました。子どもの教育に携わる者として、イスヒョンさんのことは子どもたちに語り継いでいこうと思っています。
先日釜山市庁舎でイスヒョンさんに関する展示会があるということで、本校職員と一緒に見学に行きました。しばらく見学していると、傍にイスヒョンさんのお母様が立っておられました。私のたどたどしい韓国語で「イスヒョンさんのお母様ですか。」と尋ねると、「そうです。」と答えられたので、話をさせていただくことになりました。通訳の方がいてくださり、何とか話を続けることができました。通訳の方がいなくなってどうしようかと思っていると、近くにいた方が「日本の方ですか。」と話しかけてこられました。「はい」と答えると、「私たちも日本人で韓国で暮らしています」とのことで韓国語も堪能で、今度はその方たちが通訳としてお母様と話を続けることができました。お母様から「韓国、日本のどちらにも良いところがある。お互いを認め合って仲良くしていくことが大切です。」というお話をお聞きして、本当にそうだと思いました。通訳をしてくれた日本の方も「韓日友好のために何かできることをしたい。」と言っておられました。
本当に偶然出会ったことで、こんなにいろいろお話ができるとは思いませんでした。この出会いを大切に「韓日友好」のためにできることをしていきたいと思います。